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2020年8月24日月曜日

【キャリア教育1】学校教育におけるキャリア教育とは何か

先生方、こんにちは。

今回は首里東高校で実施しました「キャリア教育職員研修」の内容について掲載します。研修は時間の制約があるため、お話しできなかった箇所もありますのでここに記しておきます。

はじめに

首里東高校はキャリア教育推進協力校の指定を受け、研究期間3年のうち2年が終了し今年度は最終年度となります。これまでの成果と課題を報告書からまとめますと、次のようになります。


学校としてカリキュラム・マネジメントのもと、どのような力を身につけさせるのかというコンセンサスを形成し、キャリア教育の視点を盛り込んだ授業を実施したことが成果としてあげられています。これは大きな成果だと思います。

課題としてあげられている項目のうち注目したのは「授業や行事を、身につけさせたい力とつなげる工夫」です。これは何を物語っているかというと、「身につけさせたい力をふまえキャリア教育の視点で授業を実施したが、身につけさせたい力が授業の中でどう結びついているのかいまいちはっきりとしない」ということだと思います。端的に言えば「授業をしていても、キャリア発達を促しているとは思えない」と先生方が感じているということです。これは各教科、指導目標の設定の段階でいまいち腑に落ちないまま次に進んでいったためだと思います。

そこで、本研修会の目的を「カリキュラム・マネジメントのもと、キャリア教育の視点で育成したい資質・能力と、各教科で育成したい資質・能力の関連をどう捉えたらよいか。」を考えることし、「授業改善の視点」と「取組の共通化と個別化」という二つの大きな項立てで行います。

Ⅰ 授業改善の視点


1.1 学校教育におけるキャリア教育とは何か?

1.1.1 不易と流行


21世紀は知識基盤社会だ、と言われはじめたのはもう10年も前のことで、今は予測困難な社会と形容されています。AIの発達による労働環境の変化やSociety5.0に代表されるように人とモノ、人と人との関わり方も変化していくと予想されています。

私たちを取り巻く環境は変化していきますが、そのような中でも私たちは共同体の中で人々と協力して生きていくという「人類の基本」は変わりません。そして協力して生きていくことの本質は「分業」です。共同体の中のそれぞれの「持ち分」を、私たちは「分業」してこの社会を成り立たせていいます。

問題は何を「分業」するかということです。これまで「生業」としてあったものが機械化やAI化により置き換えられ新たな「生業」が生まれてきます。産業革命で労働力としての馬や馬を扱う人や馬を養い育てる人は必要なくなりましたが、新たに機械技師や運転手という仕事が誕生しました。新しく生まれた「生業」に対応するため、新しいことを学び自分自身を更新していくことが必要となります。

新しいことに対応することはこれまでもありましたが、これまでと決定的に違うのは「変化のスピード」です。かつては、時代の変化のスピードが「三世代単位」であったものが、これからは自分の仕事人生のうちで何度となくアップデートを求められます。さらに大変なのが、これが小さなマイナーチェンジではなく、大幅なアップデートだということです。

先生方の中には、まさか自分が現役の間に動画によって授業を配信することになるなんてと思っていらっしゃる方もいるのではないでしょうか。

これまでは、ある一つの知識・技能の習得は彼らの人生をある程度約束してくれるものでした。しかしこれからは違うと言われています。一つの知識・技能から次の知識・技能へと自己刷新して「学び続ける力」が必要ということです。

1.1.2 沖縄県キャリア教育の基本方針

令和元年度の沖縄県が定めた「キャリア教育の基本方針」の中に、キャリア教育の定義があります。

●キャリアとは
「人が生涯の中で様々な役割を果たす過程で、自らの役割の価値や自分と役割との関係を見いだしていく連なりや積み重ね」→共同体と分業

●キャリア教育とは
「社会的・職業的自立に向け、必要な基盤となる能力や態度を育てることを通して、キャリア発達促す教育」

●キャリア発達とは
「社会の中で自分の役割を果たしながら、自分ら生き方を実現していく過程」→学び続ける

「キャリア」と「キャリア発達」で言っていることは、「人は共同体の中で分業し協力して生きていき、変化に対処すべく新しいことを学び自分自身を作り直していかなければならない」ということです。

では「キャリア教育」とは何か。キャリア教育とは、学校の教育活動全体で基礎的・汎用的能力を育成していくことに他なりません。基礎的・汎用的能力とは「人間関係形成・社会形成能力」「自己理解・自己管理能力」「課題対応能力」「キャリアプランニング能力」といった力のことです。

基礎的・汎用的能力を具体的な「身につけさせたい力」に言い換えると、下図のようになります。


1.1.3 首里東高校のキャリア教育指導計画

この章の最後に、基礎的・汎用的能力と、首里東高校のキャリア教育指導計画の関連性について考えてみたいと思います。

首里東高校の指導目標と手立ては次の通りです。

「自己を理解し、見通しを持って主体的に行動することができる生徒~思考ツールを活用した授業を通して~」

先生たちの願いを込めた生徒像は「授業」を通して育成していきたい、という熱い思いが伝わってきます。

また、育成したいキャリアの能力は「自己理解」と「課題対応能力」と焦点化しています。

さらに育成したい資質・能力は下の6つにまとめられています。

①人の意見を聴く(尊重する力)
②ルールを守る力
③やるべきことに気づく力
④計画的に行動する力
⑤失敗を恐れずに挑戦する力
⑥実行したことを継続する力

沖縄県キャリア教育の基本方針と関係づけると、下図のように整理できます。


(表左)首里東高校は学校の教育活動全体を通して、特に授業を通して身につけさせたいキャリアの力として「自己理解」と「課題対応能力」をあげています。それは「沖縄県キャリア教育の基本方針」では表のように「力」を具体化しています。

(表真ん中)「自己理解」「課題対応能力」を「育成したい資質・能力」と対応させると、表真ん中のようになります。

ここからが大事です。

先生方は生徒に「自己理解力」をつけたいと願っています。それは「人の意見を聴く」力であったり、「やるべきことに気づく力」であったり、「失敗を恐れずに挑戦する力」として具体化されています。そして、それをできれば「授業の中」で育成したいと考えています。

大事なことは、(表右)授業の中で「話す・聴く場面を作っているか?」「目標を持たせているか?」「挑戦させているか?」ということです。しかも、「組織的に」です。

「課題対応能力」については、「見通しを持たせているか?」「試行錯誤させているか?」「発展・系統的に指導しているか?」です。組織的に。

まず、各教科の授業作りに入る前に、学校全体として押さえておくべき点を確認しておきたいと思います。


まとめます。

学校教育におけるキャリア教育とは、基礎的・汎用的能力を授業の中で意識的に活用させる、ということです。

力は使わないと育ちません。

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