ページ

2020年6月18日木曜日

【遠隔・第4講】「読むこと」の領域において、現代文(評論)教材ではどのように作成すればよいか?

先生方、こんにちは。

今回は、「読むこと」の領域での指導で、評論文教材を使った遠隔授業作成の考え方についてみていきたいと思います。

古典教材(古文・漢文)は、読解の前提として習得すべき知識・技能がありますので、生徒にドリル的に課題を与えることも可能です。その解答も「読解」や「解釈」ではなく、確固たる答えがありますので、安心安全ですね。ある意味授業はやりやすいと思います。これは遠隔授業だけではなく、通常の授業も同じです。

さて、現代文はやっかいです。説明的な文章・文学的な文章、ともにやっかいです。

基本的に日本語話者として基礎的な日本語能力を有しているので(ツッコミはなしよ)、新規での語彙的な習得を含みながら、文章を読んで「書き手の意図を捉え」たり、「解釈」したり、「批評」したりしながら、「自分の考えを深め」ていくことが授業の大きな目的になります。

授業は「問い」に対する「答え」で構成されている、とお話ししました。
遠隔授業ではエッセンスしか残らない、ということもお話しました。

今回の目的は、遠隔授業では、どのように「問い」を立てて提示し、それに対しどのように「答え」ていくのがよいか、です。

前置きが長くなりました。
では、いきましょう。

1.単元デザイン

単元(ひとまとまりの学習範囲)を次のように設定してみました。
 1.指導領域 読むこと
 2.育成したい資質・能力
  • 知識・技能・・・情報と情報の関係を理解する力
  • 思考力・判断力・表現力・・・ 要旨を把握する力
 3.教材 山崎正和『水の東西』
 4.単元目標 対比項目の明確な文章を読み、筆者の主張について、情報と情報の関係の理解を手がかりに、把握する。
 5.単元目標に迫る問い 「日本人の感性の特徴は何か」

2~4コマ時間配当です。モデル教材としては山崎正和『水の東西』で行います。
本講をたたき台に、各学校の現状にあわせてカスタマイズしてください。
また、別教材にも応用してください。

テキストと格闘させるときに、「手段として情報と情報の関係に着目させる。最終的に筆者の主張を把握させる。」このふたつを、生徒自らの学習活動として取り組ませたいものです。



2.事前指導

(1)全体の流れの説明

第3講において、事前指導は「問いの提示」→「学習の見通しの説明」→「学習課題」の流れが作りやすいということをお話しました。
具体的な教材を用いてあてはめてみると、下表のようになります。


①問いの提示
  ↓
「単元目標に迫る問い」を提示します。 その問いについて考え解決していこうとする学習過程の中で、単元目標の達成を図っていきます。

例えば次のように提示することも可能です。
「日本人の感性の特徴は何か」についてテキストをもとに考えることにより、対比項目を整理しながら、筆者の主張を把握する力をつけることがこの文章を読む目的です。
何について学ぶのか
②学習の見通しの説明
  ↓
 ワークシートがあるのか、教科書と手持ちのノートで進めるのか、動画を見ながら進めていくのかを説明します。到達点はどこなのか
③学習課題 テキスト本文に基づいた具体的な学習活動を指示します。何をするのか

授業動画作成のポイント
PowerPoint型であれ、書画カメラ型、画面録画型であれ、ライブ型であれ、説明する要素として
「何について学ぶのか」
「到達点はどこなのか」
「何をするのか」
があると、わかりやすいです。

(2)具体的な学習活動

今回はワークシートを配布することを想定していますが、画面に教科書本文を提示し該当箇所を示し、同じように指示することも可能です。

①問い

今回は大きな問いを一本立ててみました。

 傍線部「『鹿おどし』は、日本人が水を鑑賞する行為の極致を現すしかけだといえる」のはなぜか。

教材のタイプや学習の進み具合によって設問の数など細かく設定可能ですが、今回は「育成したい資質・能力」と「教材」の関係から、設問数一本の場合を考えてみました。

この一文に傍線を引くことで、対比項目の読み分けや、対比項目同士の関係などを包括的に問うことが可能です。

評価の側面から言うと、この設問にきちんと答えられるということは、【知識・理解】としての「情報と情報の関係」や【思考力・判断力・表現力】としての「要旨を把握する力」がついたと判断できます。

事後指導では、この問いに対して、読みの手順を解説しながら、ひとつの解答を提示していくことになります。

ご存知のように、この問いは文章全体に関わる問いです。この問いに答えようとすると、文章全体を要約することが必要になります。その際、Aの項目とBの項目に着目し整理することになります。

この設問だけ提示し後は生徒の学習活動の時間にするか、それとも段階的な読み方の道筋を追いながら解答に導いていくかは、生徒の実態に即し計画してください。

動画作成のポイント
教材テキストの長さと設問数に応じて、画面に表示する情報量を調整するとよいでしょう。

②必要に応じて「段階的な読み」を用意

傍線部一本だけではなく、段階的な読みの支援が必要だと判断すれば、メインの問いにいくまえに部分読解で準備を整えておく必要があります。ここは丁寧に行きたいところですね。

傍線部の設問に答えるためには、本文全体を二つの項目で整理しながら、読み進めていく必要があります。その時、先生方の頭の中には下図のような読み分けがなされているのではないでしょうか。それをどのように生徒にも教えていけばいいのか。悩みどころですね。

単元目標にも「情報と情報の関係の理解」としてありますので、下図のようなワークシートで段階的な読みを学習させることも可能です。(ここはそれぞれ生徒の実態に応じ工夫する余地があります)

ここで「教科書本文抜き出し」レベルから「余計な部分を削ぎ落としたシンプルな文章」レベルにまで持って行くことができるワークシートだと、より設問に答えやすくなります。

ここまでの問いの提示について、動画作成ツール(PowerPointスライドを録音して動画とするか、PDFをiPad等に写し画面録画機能を使って動画とするか、書画カメラのように使って動画とするか)は最適なものを選択してください。(※第2講参照)

動画作成のポイント
動画の「編集(切り取り)」できる利点を生かし、テンポを重視したつくりにすると集中力が持続しやすい。

③注意!学習活動先行の計画だと着地しづらいぞ

「単元目標」や「単元目標に迫る問い」の設定があいまいだと、本教材におけるワークシートは、下図のようなものを作成しがちです。

「とりあえず二項対立の文章なので、対立項目ごとに分けさせて、視覚的に捉えさせよう」と、学習活動が先に来てしまいます
そして、ワークシートを完成させるためには、意味段落の説明をする必要があるということで、下図のようにそれぞれ説明することになります。
「思考の『国語』」ではなく「説明の『国語』」ですね。



「単元を通して取り組むべき大きな問い」のない授業において、説明はどこに向かっているのでしょうか?
ワークシートのように上段と下段に分けさせるのは何のためでしょうか?
問いがないと、たやすく手段が目的化してしまいます。

特に遠隔授業では、「作業的なワークシート」は、のちのちの事後指導が大変厳しくなります。

「単元目標」や「単元目標に迫る問い」から考え下ろしていくことをおすすめします。



3.事後指導

(1)解答の方向性

解答の方向性としては、「日本人は、〜だから。」という理由説明型の記述内容になります。しかし、筆者は日本人の特質を述べる際に論の補強として対比項目を用いていますので、その部分もきちんと解答に盛り込まないと、論旨の把握には至りません。この部分で「評価」を段階的に分けることも可能ですね。

解答例としては、下記のようなものはいかがでしょうか。

西洋は空間に噴き上げ実際に目に見える水を好むが、対照的に日本人は形なきものを恐れず、時間とともに流れていく水を好むため、実際に目に見えなくても音の間隔だけで水の流れを実感し鑑賞することができるから。


(2)腑に落とす説明

①問いに対する答え

  • 「段階的な読み」のようなワークシートは課題として課していませんが、説明するときはAの項目とBの項目について整理して説明する必要があります。
  • その際、黒板を使って説明したほうが分かりやすいか、PowerPoint動画のほうが分かりやすいかは、適宜判断してください。
  • ポイントは「問いに対する答え」につながるように対比項目を整理していくということです。今回は「水に対する感性の違い」を対象点にしてまとめることにより、「鹿おどしがなぜ極致のしかけといえるか」に対する答えにつながりやすくしています。
  • 授業がうまい先生というのは、概してこの段階の説明がとても上手ですね。キーワード、キーセンテンスをおさえつつ、論旨を外さず、枝葉をそぎ落として見事に視覚的に構造化してみせます。
  • 情報の量も適切で、しゃべる量と板書で文字情報として見せる量も、生徒の許容量を配慮して調整されています。
  • 遠隔授業では全てを満たすことはなかなかできませんが、できる限り近づけていこうとすることはできると思います。


②段階的な読み

  • 段階的に読みが深まるよう、ワークシート等で計画されていますので、「なぜその部分が抜き出せるのか」等を、順を追って説明していきましょう。
  • 最終的な「答案」の形に仕上げていくときに、部分読解で積み上げたパーツを組み合わせる学習段階が想定されます。ここ、何気なく教師の側でまとめていますが、生徒にとってみれば不思議なんですね。「なぜ単純にくっつけたたけじゃだめなんだろう」「なぜこのような文章になるんだろう」と。
  • 「文意を変えずちょこっと書き換える」。これ、ものすごい国語力が必要です。そして説明するのも骨が折れますが、なぜこれらの文章が、合体すると別の言葉で表現される文章になるのか、生徒たちはそこをわかりたがっています。

動画作成のポイント
文字情報を必要最小限に絞ったほうが伝わりやすくなります。


4.まとめ

  • 「育成したい資質・能力」→「単元目標」→「単元目標に迫る問い」の順番で考える。
  • 教材テキストの長さと設問数に応じて、画面に表示する情報量を調整する。
  • 動画の「編集(切り取り)」できる利点を生かし、テンポを重視する。
  • 文字情報を必要最小限に絞る。

今回は、動画作成の際の方法論と、教材をどのように扱うかという教材論のふたつの考え方を扱っています。
テーマは「評論文教材でどのように遠隔授業動画を作成すればよいか」ですので、方法論が主たる内容ですが、教材についても触れざるを得ませんでした。
論点が分散してしまい読みづらかった部分もあったかと思います。ご容赦ください。
現代文(評論)教材での授業動画作成のイメージが膨らめば幸いです。

2020年6月13日土曜日

【遠隔・第3講】国語総合「C読むこと」古典(古文)教材ではどのように作成すればよいか?

先生方、こんにちは!

前回までに、遠隔授業の「型」と「作成ツール」について考えてきました。
第3講では、実際に「内容」について見ていきたいと思います。

もちろん頭の中で現任校に「変換」しながら読んでください。

今回の記事の目的は、「どうやって作るか」をイメージしてもらうことです。
「どう指導するか」ではありません。

具体的には「国語総合『C読むこと』古典(古文)教材」を使用して作成してみようと思います。

では、いきましょう。

1.単元、またはひとまとまりの学習範囲での授業デザインの考え方

ここでは、「オンデマンド型・PowerPoint動画スタイル」で作成することをモデルとして考えてみたいと思います。

まず、
  1. 指導領域
  2. 育成したい資質・能力
  3. 教材
  4. 単元目標
  5. 単元目標に迫る問い
について最初に考えてみましょう。動画を作る際には、通常授業と違って内容を精選する必要があります。そのときに役立ってきます。


 (1)指導領域
  •  読むこと
 (2)育成したい資質・能力
  •  知識・技能・・・文語のきまりの理解(「言語文化」2内容〔知識・技能〕(2)イ)
  • 思考力・判断力・表現力・・・展開を的確に捉える力(「言語文化」2内容B読むこと(1)ア)
 (3)教材
  •  児のそら寝
 (4)単元目標
  •  「児のそら寝」を読み、文脈の推移について、接続助詞を手がかりにして、把握することができる。
 (5)単元目標に迫る問い
  •  古文で文章を大づかみするにはどうしたらよいか?


2.事前指導(課題の提示)

「文語のきまりを理解」させながら、「文章展開を的確に捉える力を育成する」ための遠隔授業を考えていくことにします。通常の授業でも「できるのか・・・」と思ってしまうような目標ですね。

教材は「児のそら寝」。この教材は、短く平易なのに、古文特有の主語の省略があるので、展開を捉えることを学習するのに最適ですね。

ここでは、あくまでも文章の流れを捉えることをねらいとしています。特に古文の場合は「主語」が省略されることによって、筋が追えなくなることが多いので、古文初学の段階で理解させたいところです。

<閑話休題>
ここで注意してほしいことがあります。生徒の実態に応じ、色々な課題の工夫が考えられます。ドリル形式や知識・技能の定着に重きを置いた課題などについても、決して否定されるべきではありません。
しかし、どのような学習課題も「なんのためにやっているのか」ということを学習者が理解できるようにしてください。提出のための課題にならないということが大事です。
例えば、古文であれば、このあとの学習段階として古典文法が考えられますが、学習者が学習の見通しを持てるよう説明してください。
読解や解釈に生かすための「文語のきまりの理解」であり、文章の読解や解釈は、自分の考え方を深める手立てとしたいですね。
</閑話休題>


(1)構成を考える

①「アイディアだしツール」と「整形ツール」

遠隔授業作成用のスライド作成に限らず、プレゼンテーション資料を作成するときに、いきなりパソコンを立ち上げPowerPointアプリを開き、無地のスライドを睨んではいけません。

私も経験がありますが、驚くほど何も浮かんできません。さらにパソコンの操作に気をとられてしまい、注意力が散漫になります。

人それぞれだとは思いますが、私の場合は「紙とえんぴつ」です。文字通り「えんぴつ」です。


アイディア出しツールは色々あり、デジタルの方がはかどるという先生もいると思います。ツールは問いませんが、構成を考えるときは、それに注力できるよう頭の中を「シングルタスク」にしておきましょう。

PowerPointは最終的に「整形するツール」と考えていた方がよいでしょう。

今回は、「展開を的確に捉える力」を育成したと考えています。そうするためには、文章全体をざくっと捉えることに学習活動の力点を置かなければなりません。

文章を大きくつかむためには、まず主語の把握です。主語を把握するためには、意味のまとまりと切れ目での主語の交代をおさえることです。

目印は接続助詞です。ここまでくると、「育成したい資質・能力」と「単元目標」と「単元目標に迫る問い」が結びつき始めてきたと思います。「学習活動」は、「どこに傍線を引いて、何と問うか」で見えてきます。

そろそろ「具体物の作成」にとりかかってもいい頃です。 

②説明の流れ

ついつい生徒の「学習活動」から考えてしまいがちですが、「何を考える単元なのか?」という「問いの提示」から考えることをお勧めします。特に遠隔授業の場合は、軌道修正が難しいため、説明を絞る必要があります。
(「学習活動」と「作業」については、別項でお話ししたいと思います。)

「問いの提示」→「学習の見通しの説明」→「学習課題」という流れが、受け手にとって学ぶことの意味と結びつきやすいと考えています。


作成スライドは、問いの提示で1~2枚、学習の見通しで1~2枚、学習課題の説明・提示で3~4枚程度が目安でしょう。


(2)スライドを作成する

ラフデザインに沿ってアイディアを実際にPowerPointに落とし込んでいきましょう。

問いの提示 


学習の見通し



学習課題






ポイントは、一枚のスライドに文字を詰め込みすぎない、ということです。「聞きながら」「読む」というのは、なかなかつらいものがあります。必要最低限に抑えましょう。

「アニメーション」を効果的に使うと、「聞いていること」と「読んでいる部分」を一致させることができるので、負担をかけずにすみます。

また、国語の場合は「縦書き」なので、どうしても一行分の情報量が少なくなります。見やすさを配慮し、文字が詰まるようでしたら、スライドを分けて作成しましょう。今回のスライドでも、本文の部分は苦労しました。国語は、本文(問題文)の見せ方が難しいですね。

課題の提示・説明が一番重要です。「何を(目的)」「どのように(方法)」「何を参考に(手段)」「どの程度(目標)」ということがはっきり伝わるようにすることが大切です。

ワークシートもそれに沿った作りになっていることが望ましいです。


(3)各スライドに音声を録音する

PowerPointおよびKeyNoteは、スライド一枚ずつ音声を録音することができるので、とても便利です。

一枚のスライドの中でも、「一時停止」がありますので、長くなりそうな場合は、いったん止めて、休みながら作業するといいでしょう。

ある程度「勢い」が大事です。

(4)動画として書き出す

ビデオとしてエクスポートしましょう。

参考動画

3.事後指導

学習課題に対して、解説を行います。生徒の反応がないため難しいですが、「あれもこれも」ではなく、「問いに対する答え」を中心に、「なぜそうなるのか」という点を明らかにするつもりで解説をつくると、案外うまくいきます。

今回は、「古文で文章を大づかみするにはどうしたらよいか?」という知識・技能に寄った単元目標に迫る問いでしたので、「○○したらよい。」「○○のように考える」という、ちょっとテクニック的な答えになりますね。

今回の参考動画では、事前指導(課題の提示)と事後指導(解説)が一本になっていますが、実際の指導では分割して作成したほうがいいかもしれませんね。



4.まとめ


  • 授業動画を作る際には、内容を精選する。
  • いきなりPowerPointに打ち込み始めない。
  • 事前学習のスライドは「問いの提示」→「学習の見通しの説明」→「学習課題」で。
  • 事後学習は「問いに対する答え」を中心に明快に。




2020年6月11日木曜日

【遠隔・第2講】オンデマンド型授業の動画は何を使って作ればよいか?

先生方、こんにちは!

第1講では、「国語科における遠隔授業の基本の『型」」について紹介しました。その中で、オンデマンド型が取り組みやすいというお話をしましたが、では実際にオンデマンド型の授業を準備する際、「何を使って作ればよいか」ということが次の課題になってくると思います。

そこで今回は「オンデマンド型授業動画作成のツール」というテーマでお話していきたいと思います。

全体像をお話ししますと、下図のような関係になります。

使う機材は、①スマートフォン・タブレット、②ビデオカメラ、③PC、④ビデオカメラとPC。
教材はプリントアウトしたワークシートや教科書を使う場合と、プリントアウトせずパソコンの中で表示させる場合のふたつ。
これらの組み合わせでとらえると、考えやすいかと思います。

もちろん、例示しているものは基本的な組み合わせですので、ほかの方法もあるかと思います。しかし、今回は手近にあるものでお金をかけず作れる方法を想定しています。
(ほかにいい方法があったら是非おしえてください)


それぞれについて、メリット・デメリットふまえ解説していきます。
時間のない方は、興味のあるところだけどうぞ。

では、いきましょう。



1.スマートフォン、タブレット



タッチ操作が基本のため、簡単に使えることを想定して作られています。ある程度直感的に操作できてしまえることは、大きなメリットといえるでしょう。

ビデオカメラとの一番の違いは、スマートフォン・タブレット内でデータの公開等の設定ができるところです。これは大きいと思います。


(1)アナログ

実際の授業に近い教師の活動を、 スマートフォン・タブレットで撮影します。
【顔出しあり】
ビデオカメラと同じような使い方を想定しています。その際、学習指示や解説などは、教科書やプリントなどを提示し、指し示しながら行います。 
ふだんの授業に近いため、生徒たちの安心感につながる方法だと思います。 
【顔出しなし】 
書画カメラのような使い方を想定しています。教科書やワークシート等を真上から直接撮影し、プリントに書き込みながら説明をしていきます。一番手間がかからず、心理的にも負担のない方法です。


(2)デジタル

一番簡単なのは、使用するワークシートをPDFにしたものを使う方法です。
次に想定されるのは、プレゼンテーションソフト(PowerPoint等)をスライドショーの状態で表示させる方法です。

どちらも、画面録画機能を使って動画にするということです(iOS想定)。PDFでも、スライドショーでも、スタイラスペンをつかって書き込むことが可能です。いわゆる、画面を黒板のように使い、音声もかぶせながら動画作成をします。

見栄映えやわかりやすさ、手軽さ、ライブ感などの点から、 おすすめの方法です。

○メリット

手軽。
やろうと思えば、ちょっとした編集も可能。(手間をかけないためには、「一発取り」が基本です。)
動画データは、 スマートフォン・タブレット上から直接「OneDrive」上に保存可能。

▲デメリット

デメリットというか注意点ですが、動画データをそのままアップロードすると、すごい大きなデータ量になります。
これを生徒が一日何コマか視聴するとなると、たちまちギガを使い果たしてしまう可能性があります。 
できるだけ動画を圧縮してアップロードすることをおすすめします。 



2.ビデオカメラ

動画といえばビデオカメラ。スマートフォン・タブレットに比べ、動画を撮るために作られている機材なので、画質や集音性などに優れ、細かい設定が可能です。
美肌モードもあります。
ホワイトバランスを適切に設定すれば、プリントがはっきりみえるなど視認性が高まります。


(1)アナログ

基本的にスマートフォン・タブレットと同様の使い方です。授業一発取りや、書画カメラ型の使用を想定しています。編集はなしで、動画データをアップロードします。

○メリット

操作性において「わかりやすい」。それくらいかな。

▲デメリット

データが大きくなるのはスマートフォン・タブレットと一緒です。注意してください。また、撮影した動画データについては、編集しなくてもいったんパソコンに移動させなければなりません。その一手間がスマートフォン・タブレットとの大きな違いです。




3.PC

PC単体で動画を作ろうとなると、プレゼンテーションソフトを使い、プレゼン用スライドに音声を被せていく方法となります。
基本的にPC内での作業となりますので、プリントアウトした紙媒体は使いません。
スマートフォン・タブレットに比べ、細かい操作ができる点はいいですね。フリック入力よりキーボード入力ですよね。


(1)デジタル

プレゼンテーションソフト(PowerPoint。MacはKeyNoteがいい)を使います。教科書データやワークシート類もぺたぺた貼り付けて編集します。


○メリット

これまで授業で使った「資産」が活用できるのは大きいですね。
また、プレゼンテーションに特化したソフトだけあって、見せたい情報に集中させることができるという点でもツールとしては優れています。
作成段階で指導の順序や説明の的確さなどをしっかりと精査できるので、わかりやすい内容と構成にすることができます。

Microsoftのサポートページに詳しい説明がありますので、参考にしてください。
 

▲デメリット

スライドに音声を被せていくのは思いの外難しいものです。また、作り込みすぎると時間がかかってしまったり、情報量が多くなってしまう可能性があります。情報量が多くなると、遠隔授業として受け手が許容量オーバーになることを考えられますので注意が必要です。




4.ビデオカメラ+PC(編集)

ビデオカメラと書いていますが、動画データがとれればいいので、ここはスマートフォン・タブレットでもかまいません。
アナログ的に撮影した動画データをパソコン上で処理し、動画編集をして完成度を上げていきます。
通常私たちが「授業動画作成」といったときにまず頭に浮かぶのがこの作業工程です。実は一番難易度が高いんですね。

(1)アナログ

紙媒体を中心に、アナログ的に実施した授業をビデオカメラ、スマートフォン・タブレットで撮影します。その動画データをパソコン上に保存し、余計な部分をカットしたり、つなげたり、声の音量を調整したりして動画編集を行います。これだけでも難しいですよね。凝ってくると効果音や音楽とかを入れたがりますが、授業動画とかではちょっとジャマかな。何事も過ぎたるは、です。


(2)デジタル

デジタルは、撮影動画とプレゼンテーションソフトで作成した動画データとの組み合わせになります。プレゼンテーション動画データの前後に、別撮影したほかの動画データを組み合わせたりして、より授業に近い形に整えていきます。すごい技術が必要ですね。

○メリット

ひとまとまりの動画として、とても美しいものができあがります。フェードインで入ったり、動画と動画のつなぎが自然だったり、ホワイトバランスが安定していたり、音声バランスが一定だったり、余分な部分がきちんとカットされていたりなど、見ていてストレスを感じることはないでしょう。なんなら字幕も入れ、インクルーシブ的にもすばらしい作品ができあがります。

▲デメリット

技術が必要。時間がかかる。授業内容を高める前にハードルが高すぎて気持ちが萎える。もしかすると、誰か一人に負担がのしかかる。



まとめ

4種類の使用機材について、アナログ・デジタル別に見てみました。

国語科として取り組む上でおすすめなのは、
スマートフォン・タブレットの画面録画機能を活用した方法
PCでプレゼンテーションソフトの録音機能を活用した方法
のふたつになります。

もちろん、指導領域、教材、生徒の実態、実施したい学習活動、自分たちのスキルを総合的に勘案して、最適な方法を選択し、作成してくださいね。