第1講では、「国語科における遠隔授業の基本の『型」」について紹介しました。その中で、オンデマンド型が取り組みやすいというお話をしましたが、では実際にオンデマンド型の授業を準備する際、「何を使って作ればよいか」ということが次の課題になってくると思います。
そこで今回は「オンデマンド型授業動画作成のツール」というテーマでお話していきたいと思います。
全体像をお話ししますと、下図のような関係になります。
使う機材は、①スマートフォン・タブレット、②ビデオカメラ、③PC、④ビデオカメラとPC。
教材はプリントアウトしたワークシートや教科書を使う場合と、プリントアウトせずパソコンの中で表示させる場合のふたつ。
これらの組み合わせでとらえると、考えやすいかと思います。
もちろん、例示しているものは基本的な組み合わせですので、ほかの方法もあるかと思います。しかし、今回は手近にあるものでお金をかけず作れる方法を想定しています。
(ほかにいい方法があったら是非おしえてください)
それぞれについて、メリット・デメリットふまえ解説していきます。
時間のない方は、興味のあるところだけどうぞ。
では、いきましょう。
1.スマートフォン、タブレット
タッチ操作が基本のため、簡単に使えることを想定して作られています。ある程度直感的に操作できてしまえることは、大きなメリットといえるでしょう。
ビデオカメラとの一番の違いは、スマートフォン・タブレット内でデータの公開等の設定ができるところです。これは大きいと思います。
(1)アナログ
実際の授業に近い教師の活動を、 スマートフォン・タブレットで撮影します。
【顔出しあり】
ビデオカメラと同じような使い方を想定しています。その際、学習指示や解説などは、教科書やプリントなどを提示し、指し示しながら行います。
ふだんの授業に近いため、生徒たちの安心感につながる方法だと思います。
【顔出しなし】
書画カメラのような使い方を想定しています。教科書やワークシート等を真上から直接撮影し、プリントに書き込みながら説明をしていきます。一番手間がかからず、心理的にも負担のない方法です。
(2)デジタル
一番簡単なのは、使用するワークシートをPDFにしたものを使う方法です。
次に想定されるのは、プレゼンテーションソフト(PowerPoint等)をスライドショーの状態で表示させる方法です。
どちらも、画面録画機能を使って動画にするということです(iOS想定)。PDFでも、スライドショーでも、スタイラスペンをつかって書き込むことが可能です。いわゆる、画面を黒板のように使い、音声もかぶせながら動画作成をします。
見栄映えやわかりやすさ、手軽さ、ライブ感などの点から、 おすすめの方法です。
○メリット
手軽。
やろうと思えば、ちょっとした編集も可能。(手間をかけないためには、「一発取り」が基本です。)
動画データは、 スマートフォン・タブレット上から直接「OneDrive」上に保存可能。
▲デメリット
デメリットというか注意点ですが、動画データをそのままアップロードすると、すごい大きなデータ量になります。
これを生徒が一日何コマか視聴するとなると、たちまちギガを使い果たしてしまう可能性があります。
できるだけ動画を圧縮してアップロードすることをおすすめします。
2.ビデオカメラ
動画といえばビデオカメラ。スマートフォン・タブレットに比べ、動画を撮るために作られている機材なので、画質や集音性などに優れ、細かい設定が可能です。
美肌モードもあります。
ホワイトバランスを適切に設定すれば、プリントがはっきりみえるなど視認性が高まります。
(1)アナログ
基本的にスマートフォン・タブレットと同様の使い方です。授業一発取りや、書画カメラ型の使用を想定しています。編集はなしで、動画データをアップロードします。
○メリット
操作性において「わかりやすい」。それくらいかな。
▲デメリット
データが大きくなるのはスマートフォン・タブレットと一緒です。注意してください。また、撮影した動画データについては、編集しなくてもいったんパソコンに移動させなければなりません。その一手間がスマートフォン・タブレットとの大きな違いです。
3.PC
PC単体で動画を作ろうとなると、プレゼンテーションソフトを使い、プレゼン用スライドに音声を被せていく方法となります。
基本的にPC内での作業となりますので、プリントアウトした紙媒体は使いません。
スマートフォン・タブレットに比べ、細かい操作ができる点はいいですね。フリック入力よりキーボード入力ですよね。
(1)デジタル
プレゼンテーションソフト(PowerPoint。MacはKeyNoteがいい)を使います。教科書データやワークシート類もぺたぺた貼り付けて編集します。
○メリット
これまで授業で使った「資産」が活用できるのは大きいですね。
また、プレゼンテーションに特化したソフトだけあって、見せたい情報に集中させることができるという点でもツールとしては優れています。
作成段階で指導の順序や説明の的確さなどをしっかりと精査できるので、わかりやすい内容と構成にすることができます。
Microsoftのサポートページに詳しい説明がありますので、参考にしてください。
▲デメリット
スライドに音声を被せていくのは思いの外難しいものです。また、作り込みすぎると時間がかかってしまったり、情報量が多くなってしまう可能性があります。情報量が多くなると、遠隔授業として受け手が許容量オーバーになることを考えられますので注意が必要です。
4.ビデオカメラ+PC(編集)
ビデオカメラと書いていますが、動画データがとれればいいので、ここはスマートフォン・タブレットでもかまいません。
アナログ的に撮影した動画データをパソコン上で処理し、動画編集をして完成度を上げていきます。
通常私たちが「授業動画作成」といったときにまず頭に浮かぶのがこの作業工程です。実は一番難易度が高いんですね。
(1)アナログ
紙媒体を中心に、アナログ的に実施した授業をビデオカメラ、スマートフォン・タブレットで撮影します。その動画データをパソコン上に保存し、余計な部分をカットしたり、つなげたり、声の音量を調整したりして動画編集を行います。これだけでも難しいですよね。凝ってくると効果音や音楽とかを入れたがりますが、授業動画とかではちょっとジャマかな。何事も過ぎたるは、です。
(2)デジタル
デジタルは、撮影動画とプレゼンテーションソフトで作成した動画データとの組み合わせになります。プレゼンテーション動画データの前後に、別撮影したほかの動画データを組み合わせたりして、より授業に近い形に整えていきます。すごい技術が必要ですね。
○メリット
ひとまとまりの動画として、とても美しいものができあがります。フェードインで入ったり、動画と動画のつなぎが自然だったり、ホワイトバランスが安定していたり、音声バランスが一定だったり、余分な部分がきちんとカットされていたりなど、見ていてストレスを感じることはないでしょう。なんなら字幕も入れ、インクルーシブ的にもすばらしい作品ができあがります。
▲デメリット
技術が必要。時間がかかる。授業内容を高める前にハードルが高すぎて気持ちが萎える。もしかすると、誰か一人に負担がのしかかる。
まとめ
4種類の使用機材について、アナログ・デジタル別に見てみました。
国語科として取り組む上でおすすめなのは、
・スマートフォン・タブレットの画面録画機能を活用した方法
・PCでプレゼンテーションソフトの録音機能を活用した方法
のふたつになります。
もちろん、指導領域、教材、生徒の実態、実施したい学習活動、自分たちのスキルを総合的に勘案して、最適な方法を選択し、作成してくださいね。






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